SHIINBLOG

道との遭遇

あなたはインターネットに初めて触れたときのことを覚えているだろうか?

僕ははっきりとは覚えていない。ただ幼稚園児の頃に初めて触ったPCは父の使っていたAppleiMacだったのを覚えている。今でもそのiMacは自宅の和箪笥の上に埃を被って鎮座している。

 

僕は平均的な同世代(現在の二十歳前後の世代)の人間の中でも相当早くからネットに触れていると思っている。小学校低学年の頃だから今から13,4年前はおもしろFLASHなどという類のサイトを漁って「千葉滋賀佐賀」とか「山手線」といったネットの界隈では有名なFLASHを見ていて笑っていた記憶がある。特に「千葉滋賀佐賀」は僕の母が教えてくれたものであった。今考えると「千葉滋賀佐賀」が自分にとってのインターネット生活の原点なのかも知れない。こう言っては何だがそもそもFLASH動画を小学校低学年の息子に教える僕の母もちょっと変わっている。

 

小学校4年生ぐらいのときに僕は「Youtube」というサイトを知った。もう既にその頃からYouTubeはインターネットの一大コンテンツとしての地位を確立させつつあったが、YouTuberなどといった昨今ではで人気のものもまだ少なかった。

最初にYouTubeで見たのは仮面ライダー電王の動画だった。今でこそ東映の公式チャンネルが全話アップロードしているが、もちろんその頃は違法にアップロードされたものだった。あとその頃は確か1つの動画は10分までしかアップロードできない仕様だったから30分の話が3等分になっていた。

 

小学校5年生のときには祖父にiPod Touchを買ってもらった。それまでは家のPCでしかインターネットに触れることができなかったのが、どこにでも持ち込んでインターネットに接続できるようになった。

その頃僕が覚えたのは「2ちゃんねるまとめサイト」である。まとめサイトのまとめアプリをダウンロードして四六時中まとめサイト経由で2chのスレッドを見て暇をつぶした。

僕の小学校6年生の卒業間際、2011年3月11日にあの東日本大震災が起こるとインターネットでの情報伝達の重要性が注目されるようになった。1995年1月17日の阪神淡路大震災のときはまだインターネットの黎明期でありそこまでネットでの情報伝達は考慮されていなかったが、3.11ではネットでのコミュニケーションが多用され重要度を高めた。

また3.11での教訓を同年6月に日本発のメッセージングアプリであるLINEが発表された。

日本でのスマートフォンの急速な広まりと共に、LINEは日本におけるメッセージングアプリのデファクトスタンダード(法律などの規則で決まった基準ではなく、市場などでの競争で結果的におのずと決まった基準のこと)を獲得した。

スマホが日本において加速度的に普及したのは3.11の影響が少なくないと思っている。震災直後は首都圏でも交通網や通信網が麻痺した状況下で、インターネットは数少ない情報源として認められたからだ。

 

僕の身内で最も早くスマホを使い始めたのは母だった。僕の母は昔からインターネットに触れるのが好きでTwitterも3.11より前の2010年からアカウントを作ってやっている。

私はというと高校に入学する直前までスマホは持っていなかったので中学時代までインターネットに触れるのは専ら先程のiPod Touchが主であった。

中学生になってからはまとめサイトに飽き足らず2ch本家に入り浸るようになった。念のため言っておくと、2chというのはトップページに「ハッキングから今晩のおかずまで」と書いてあるようにいわば「掲示板の集合体」でありたくさんのカテゴリに分けられた掲示板がある。

今でもそうだろうがその中のメインストリームは「ニュース速報(VIP)」と「なんでも実況(ジュピター)」でそれぞれVIP、なんJと呼ばれている。その2つが板(掲示板)がユーザーの多いものだ。僕が入り浸っていたのはVIPの方だった。2chでクソガキのことは専ら厨房(中学生)と言われ叩かれるのだが、僕はまさにそれだった。まったく不健全の極みである。

 

前にも書いたが、中学生ぐらいのときから僕がハマったのはPerfumeだった。2chには「女性アイドル」板の中にPerfumeについてのスレッドがあり一番大きい総合スレッドは専らPerfume本スレと呼ばれていた。僕はそこを覗くようになり情報を得るようになった。

高校受験を挟んで一旦2chから離れていたときもあったが、先述のように初めてスマホを持つようになると一気にインターネットに触れる機会が増大した。

あれは2015年だから、高校2年生のときに3:5:5:9というPerfumeのワンマンライブに行ったことをきっかけに僕はそれまでほとんど2chのみからだった情報源を今度は新しくTwitter上に求めた。

先述したが私の母は早い段階からTwitterをしていて、目的はとあるK-POPのグループを追っかけていてそれで情報交換のためにアカウントを作ったのが始まりだった。Twitterで知り合った人間とライブに行ったり集まって食事に行ったりしているのを見ると面白そうに思えて自分もやりたくなってTwitterのアカウントを作ったのである。

 

Twitterを始めて驚いたのは流れてくる情報量だ。正直当時の僕はTwitterの情報量をナメていた。Perfumeのファンばかりフォローしても全く関係ない情報が平気で四六時中流れてくるし、まったく整合性のないタイムラインが生成されてしまった。

それでも僕はそれが面白いと感じてTwitterだけに専念して、だんだん2chの方は覗かなくなってしまった。これは色々なタイミングで僕が言っていることであるが、Twitterはいわば「自分の好みのアカウントをフォローして自分だけの最強のタイムラインを作る」シミュレーションゲームのようなものなのだ。

2chって自分で好みの話題で「スレッド」を立てても必ずしもレスが来るとは限らないし一定時間が経つとDAT落ちと言ってそのスレには書き込めなくなってしまう。だから割と思い通りにいかないことも多い。

でもTwitterは違う。フォロー中のアカウントから絶えずツイートは流れてくるし、しかもその無数あるアカウントのうちから自分の好みで取捨選択できる。好きなタイミングでいくらでもつぶやけて誰にも怒られたり咎められたりすることはない。こんなに最高な世界が果たして他にあるだろうか。

 

僕は生まれて物心ついたときからインターネットがある世代だが、僕より10個ぐらい上の世代からはネットが殆どない社会から急速に広まった社会を肌で体験できている世代なので正直羨ましい。まぁ、今となってはどうしようもない話だけれど。

 

 

私は自分がインターネットに最初に触れたことは「道との遭遇」だと思っている。

インターネットという巨大な道の真ん中に放り出された人間はどこに辿り着くのかは全く分からない。それはすなわち「未知との遭遇」でもあるのだ。

 

こうやってブログに拙い文を書き連ねて公開することができるのもネットのお陰である。炎上とか晒しとかそういうネガティヴで批判されがちなことは一旦置いておいて、人々の世界が広がったことについては素直に喜びたいものだ。