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「おバカキャラ」を笑いとする時代錯誤なアイドル番組 ― 「乃木坂工事中『第3回 頭NO王選手権』」

以下は、東京オリンピックパラリンピック開閉会式の統括役を解任された小林賢太郎氏の謝罪文である。
小林賢太郎と申します。私は元コメディアンで、引退後のエンターテイメントに裏方として携わっています。
 かつて私が書いたコントのセリフの中に不適切な表現があったというご指摘をいただきました。確かにご指摘の通り、1998年に発売された若手芸人を紹介するビデオソフトの中で、私が書いたコントのセリフに、極めて不謹慎な表現が含まれていました。
 ご指摘を受け、当時のことを思い返しました。思うように人を笑わせられなくて、浅はかに人の気を引こうとしていた頃だと思います。その後、自分でも良くないと思い、考えを改め、人を傷つけない笑いを目指すようになっていきました。
 人を楽しませる仕事の自分が、他人に不快な思いをさせることはあってはならないことです。当時の自分の愚かな言葉選びが間違いだったということを理解し、反省しています。不快に思われた方々に、お詫びを申し上げます。申し訳ありませんでした。

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「人を傷つけない笑い」という概念がどこまで実現可能なのかは分からない。サンドウィッチマンのどちらかが言っていたかは忘れたが「人を傷つけない笑いというものはなく、笑いというのは誰かを傷つけてしまうものなのだ」という趣旨の話をしていた記憶がある。

「人を傷つけない笑いはできない」ということではなく、肝心なのは人を笑わせること、楽しませることと人を傷つけることは同じ地平にあることを自覚し真摯にエンターテインメントに向き合うことだ。

 

『乃木坂工事中』はテレビ東京系で日曜深夜12時(月曜0時)から放送しているMCのお笑いコンビバナナマン乃木坂46がレギュラーを務める深夜番組であるが7月26日から2週に亘って放送されたのが「第3回 頭NO王決定戦」という企画である。

 

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第3回とあるように過去に2回行われている企画であるが、この企画は乃木坂46のメンバー全員に(OAに出演しているのはメンバー全員ではないが)5教科それぞれ20点満点で学力検査を行い一番点数の低かった者(頭NO王)は誰か選ぶというものである。

初めての企画ではないとはいえこんな前時代的な企画を引きずっているのには正直驚いたし、「おバカなアイドルが面白い・可愛い」というような価値観が根底にあるこの企画は全く以て幼稚であり時代錯誤も甚だしい限りである。

それに加えて、乃木坂工事中の公式Twitterアカウントではメンバー全員の学力検査の点数を公開している。

これ、普通の学校で自分のところの生徒の試験結果をTwitterで公開したらたちどころに批判が噴出するだろう。あまりにも配慮がないし、メンバーのイメージにも影響があるのではなかろうか。
 
この企画は冒頭で述べた小林賢太郎氏の「人を傷つけない笑い」に通底する話だ。
今日、日本の女性アイドルグループで1、2を争う人気を集めているだけにこういった機微には敏感になってほしい限りである。