2日に山形の名刹「立石寺(通称:山寺)」に行くことができた。前日の夜に仙台に着き1泊、翌朝の電車で山形に向かった。
しかし、立石寺に行く前にずっと前から行きたかった面白山高原駅が仙山線にあるので今回はそこで降りて立石寺まで歩くという行程を取った。
仙山線普通(823M)山形行
仙台発7:07→面白山高原着8:06
仙山線は宮城県仙台市の仙台駅と山形県山形市の羽前千歳を結ぶ全長58.0kmの路線である。1929年に仙台-愛子間が開業し、1937年に全線が開業した。
また、日本の電車は直流電流区間と交流電流区間に分かれているのであるが、その交流電流を最初に導入したのがこの仙山線である。
実は私は中学2年生のときにこの仙山線には全線乗車をしているのであるが、そのときは立石寺も面白山高原駅も素通りしてしまったので実に6年越しの願いが実現したということになるのだろうか。
仙台を発車した電車は愛子(あやし)駅までは市街地の中を走るが、愛子からは山や田園の見える景色に変わる。宮城・山形県境を通る全長5,361mの仙山隧道(面白山トンネル)を抜けるとすぐに面白山高原駅に到着する。
面白山高原駅は1937年に仮乗降場(国鉄時代に国鉄本社が設置したのではなく、地方の鉄道局の裁量で設置された駅のこと)として開業し、JR移管後の88年に駅として昇格した。
駅の周辺にはハイキングコースや「面白山コスモスベルグ」という公園が650m程南にある。また「スノーパーク面白山」というスキー場があり、鉄道でしか行けない(駅には林道が通じているが冬季は通行止になる)スキー場として知られていたが2010年以降は休業しているそうだ。
左に見えるのは藤花の滝である。
お分かりになるように、ここは駅の周辺に人家がほとんどないいわゆる「秘境駅」である。しかし私以外にも何人かが同じ電車からこの駅で降りたし、駅には10人ほどのハイキング客がいた。夏場のシーズンには一定数の需要があるのだと思った。
しかし、この駅に通じる林道が封鎖される冬場は訪れるのが相当厳しいのではないかと思った。
先程の藤花の滝と反対側に、霰滝(あられたき)があるというので、駅から歩いていくことにした。
この日は晴れの天気だったが、ここ数日の雨のせいだろうか足元がぬかるんでいる箇所がいくつかあって気を付けねばならなかった。
歩いて10分程で霰滝に到着。
当然のことであるが誰もいなかったので本当の秘境という雰囲気を感じられてとてもよかった。
駅に戻って林道を西に向かい立石寺を目指すことにする。
面白山の駅から立石寺までの道のりはおよそ7.5kmで徒歩にして1時間45分程度である。
歩行者・自動車ともにほとんど通らない道であったので非常に歩きやすく、森の中を気持ちよくハイキング気分で歩くことができた。(それでも3,4台の車とすれ違ってその中にはタクシーもあった)
山寺の通称を持つ宝珠山立石寺は、860年に慈覚大師によって建立された天台宗の寺である。松尾芭蕉が「おくのほそ道」の途上で訪れたことがあり、「閑さや石に染み入る蝉の声」という句で有名である。
先程の建物は山の下にある「根本中堂」で、一番上の「五大堂」までは600段以上もの階段を上ることになる。
右が一番上の五大堂から見た景色である。
晴れていたので遠くの山々まで見渡すことができて、とても気持ちが良かった。
心地よい風の吹く山上から見下ろす麓の景色はジオラマのように見え、私の目には非日常的に映った。
東北の山々と緑に染まったひと時だった。