上野駅は1883年7月28日に日本初の私鉄である日本鉄道(現在のJR高崎線)が上野-熊谷間の開業に合わせて始発駅として開業した駅である。
開業以来東京のターミナル駅の一つとして発展し、主に東北地方・上信越地方への長距離列車が発着する駅として親しまれた。
1991年に東北新幹線が東京駅まで延伸したり、2015年には上野東京ラインが開業しそれまで上野駅発着だった宇都宮線・高崎線・常磐線の列車が上野駅から東京駅まで直通し東海道本線に直通したりするなどして「終着駅」から「通過駅」としての意味合いを強めていった上野駅ではあるが、未だにターミナル駅としての地位は健在している。
私が今回乗車した弘南バスの「スカイ号」はこの上野駅から青森駅までを走る高速バスである。スカイ号は上野駅前を10時に出発し、終着の青森駅前には20時50分に到着するバスで、この所要時間10時間50分は日本の昼行高速バスの中では最長のものである。
また、夜行高速バスでは東京駅から博多駅に向かう15時間50分の所要時間の天領バスの「オリオンバス」が最長である。(ちなみに往年の北海道の某深夜番組にも登場した西鉄バスの「はかた号」の所要時間は新宿駅南口→西鉄天神間の14時間17分で日本で2番目に長い。)
2019年2月4日(月)
上野駅前10:00発
私はインターネット予約でこの日の便を5,000円で購入した。東京-新青森間の東北新幹線のはやぶさ号が約17,000円で乗れるということを考えると破格の値段である。しかし私は春休みという時間があるからこそ乗れるにしろ、平日の月曜日からバスに10時間以上も揺られることのできる身分の人というのは一体何者なのか…と考えていたのだが、周りは年配者が割と多いようだった。乗車率は8割程度といったところだろうか、想像していたよりも多くて驚いた。定刻通りにバスは上野駅前を出発。首都高速道路を経由し東北自動車道に入った。
スカイ号は途中休憩は4回(佐野SA・那須高原SA・国見SA・紫波SA)ある。最初の休憩地の佐野SAには11時12分に到着。
高速道路は渋滞もなく順調に進み、12時40分には那須高原SAに到着。ここでは40分程昼食休憩を取ることができる。
那須高原SA到着の時点でおよそ全ての行程の3分の1である。
スカイ号の車内は2+2列のシート配列になっていてトイレ設備が後方にある。また窓側・通路側の座席ともにコンセントが完備されている。シートピッチは格安高速バスのそれより若干余裕があるといったところだろうか。
夜行高速バス特有のあの殺伐とした雰囲気が薄いだけ昼行高速バスは気が楽である。流石に10時間も乗るだけあって車内は退屈しそうなものではあるが、コンセントがあるのでスマホなどをいじることもできるし、東北道の景色を楽しむのも良いと思う。(無論それでも少なからず乗り物での移動が好きな人ではないと厳しいと思われる。)
14時48分に福島県の国見SAを出発すると、バスは宮城県に入り東北自動車道中間地点(340kmポスト)を通過する。このときの時刻は15時26分でほぼ所要時間の半分である。
宮城県を抜けて岩手県に入った頃から断続的に雪が降って来るようになった。いよいよ北東北へと足を踏み入れた気持ちになる。
最後の休憩地岩手県の紫波SAには16時59分に到着。バスの外へ出ると身に沁みるような寒さを感じた。
紫波SAを過ぎた辺りから日が落ちてきて辺りが真っ暗になりながらバスは東北道を走行する。八幡平の辺りに差し掛かると辺りは山なので時たま通る対向車のライト以外は何も見えなくなり、そろそろ身体が限界に近づいてきて終着の青森が待ち遠しくなる。
19時12分に弘前バスターミナルに到着。ここで乗客の9割ぐらいは降りてしまって残った乗客は私も含めて数名だけになってしまった。
弘前から青森駅まではバスは一般道を走行する。今までずっと高速道路を走行していたので遅く感じてしまうのは仕方がない。
20時27分、定刻より23分早く青森駅前に到着。上野駅を出発して10時間27分の乗車であった。
【乗り通してみての感想】
1時間半に1回程度は休憩でサービスエリアに停まるのでそこまでの閉塞感は覚えなかった。全席にコンセントがあるのはありがたかった。途中で眠くなってしまうかと思ったが、那須高原SAの直前の20分程を除けばほとんど起きていても苦ではなかった。これは、私が仙台以北の東北道には行ったことがなかったからなのかも知れない。また、北に行くにつれて道路に設置されている温度計の値がだんだん下がって来るのを見るのは面白かった。
乗車時間が10時間以上という長丁場ではあるが、新幹線の3分の1というリーズナブルさはかなり魅力的である。時間があって体力に自信のある方は乗ってみる価値はあるのではないだろうか。
今回の青森の旅行のことは次の記事に書くつもりである。それでは後ほど。