【前回の記事】
前回の記事でも紹介したが国道16号線は日本で2つしか存在しない起終点が同一地点の環状国道のひとつであるが、実際は富津市からここ横須賀市走水は海上の区間として実際には道路がない区間である。そして神奈川県の国道16号線で最南端の区間である。
京浜急行本線の馬堀海岸駅からスタートする。当駅の1つ隣は終着の浦賀駅で、周辺は幕末にペリーが黒船を率いて来航した地として知られている。
馬堀海岸駅から3キロ強歩いて走水交差点に着いた。
大きな道路沿いに郊外型店舗が立ち並ぶいわゆる「16号線的な景観」とはうってかわって走水界隈は片側1車線で、漁港のある浦を通るなど一般的な16号線のイメージとは異なる景色が続くので面白い。
走水漁港のすぐ隣には御所ヶ崎という場所がある。
ここは記紀(古事記・日本書紀)で記載されている大和武尊(ヤマトタケル)の伝説の舞台となった場所である。大和武尊はこの走水から安房に渡ったと伝えられている。しかし、大和武尊が海を渡る途中に暴風雨に遭ったため、連れの弟橘媛(オトタチバナヒメ)が海に身を投じて暴風雨を鎮め、彼女の櫛がこの御所ヶ崎に流れ着いたことからこの場所に祠を建てて祀ったのだといわれている。
走水海水浴場の前には走水貯水池がある。
ここは横須賀造船所に水道を運ぶ目的として1876年にフランス人のヴェルニーによって築造された水源地である。
1908年に横須賀市が一部払い下げを受けて市内の給水を開始し、これが横須賀市の近代水道の始まりとなった。
現在でも横須賀市唯一の水源地として利用されており、災害時の応急給水拠点にも指定されている。
馬堀海岸付近に差し掛かると、横須賀の海を右手に見ながら歩くことになる。
馬堀海岸付近の16号線沿いには海沿いに遊歩道が設置されていて、ジョギングをする人も見られた。
猿島は横須賀沖にある小島で、第二次世界大戦中は旧日本海軍の砲台が設置され首都防衛のための島として機能した。
現在では横須賀中央駅から歩いて三笠公園まで行き、渡船場から10分程で島に渡ることができる。
馬堀海岸を通り大津漁港を越えると、国道16号線らしい郊外型店舗の立ち並ぶエリアになる。
国道16号沿線は港湾を結ぶという役割というも果たしているため、国土交通省などの国の出先機関が集まっているのも特徴である。
先程の看板の地点から10分ほど歩いて京急線の堀ノ内駅に到着した。走水交差点から徒歩で約5kmの道のりだった。
今回の区間は神奈川県内最南端の国道16号線の区間だった。神話に登場する地名があったり、小さな漁港があったりして国道16線の中でもかなり特異な区間と言えるのではないだろうか。そういう意味でもとても興味深かった。
それでは今回はこの辺で。