前回に引き続いて神奈川連邦の話である。
三浦横須賀州(横須賀市、逗子市、三浦市、三浦郡葉山町)
三浦半島を中心とする地域である。
横須賀市は明治時代に帝国海軍の軍港が整備されてからは軍事拠点として貿易の中心である横浜と並んで重要視された。戦後は西太平洋・インド洋を管轄するアメリカ海軍の第七艦隊の拠点が置かれている。
三浦市はマグロ漁業で有名な三崎港を持ち、三浦大根などの栽培が盛んな農業・漁業の街である。
逗子や葉山は古くから別荘地として知られ、葉山には天皇家の御用邸が設けられた。
鎌倉や藤沢と比べて逗子や葉山は近年人気が落ちて寂れつつあるという印象がある。
湘南州(鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市、中郡大磯町、二宮町、高座郡寒川町)
「湘南」の由来はこの一帯を南北に流れる相模川を中国の名勝として知られる湘江になぞらえてその南側という意味から来ていると言われている。
1957年に大手私鉄の西武グループが巨大プール施設の大磯ロングビーチを開業させ、若者のシンボルとなったのをはじめとして、都心から手軽に行けるリゾート地の立ち位置を確立した。また70年代から80年代にかけてサザンオールスターズやTUBEといったアーティストがここ湘南から輩出されたことも知名度・人気の向上に一役買ったといえるだろう。
鎌倉の歴史は1192年に日本で初めての武士による支配機構「幕府」が成立したことを始めとする古い街である。鶴岡八幡宮や鎌倉五山といった神社仏閣が数多く残されていて、観光をするのには絶好の場所である。
ちなみに私のおすすめは鶴岡八幡宮の裏にある「鎌倉宮」と鎌倉駅から江ノ電に乗り「極楽寺」駅で降りて歩いて数分で行ける「成就院」である。
と、ここまで書いて以前にも記事にしていたことを思い出したためここに貼っておくことにする。
西湘州(小田原市、南足柄市、足柄上郡松田町、中井町、大井町、山北町、開成町、足柄下郡箱根町、真鶴町、湯河原町)
おおよそ酒匂川より西の地域である。小田原、箱根なんかはお正月恒例の箱根駅伝のお陰で知っている人も多いかもしれない。
箱根駅伝は正式名称を「東京箱根間往復大学駅伝競走」と呼ぶ大学駅伝の競技会である。実は、大会の位置づけとしては箱根駅伝は「地方大会」という立場であるが、全国中継され学生スポーツの中でも極めて人気が高い。
第1回は1920年に行われ、途中戦時の中断を経て毎年1月2-3日に行われるのが恒例である。以前から関東地方では人気を集めていたが、日本テレビ系列による全国中継が開始されたのは1989年と比較的最近のことである。箱根の山間部から東京のテレビ局に電波をリアルタイムで飛ばすということに当時は不可能とされていたのだが、NTTの電波塔を使うなど機材をフル回転させて放送を成功させたのだという。
箱根町は古くから温泉街として知られ、明治期以降は外国人客を呼び込むためホテルが建設され高級別荘地としても知られるようになった。現在でも箱根町は財政力指数で県下屈指の数値を誇り、地方交付税交付金の不交付団体でもある。
小田急ロマンスカーで新宿から箱根湯本まで行き、そこから急勾配を走る登山電車に乗り換え終点の強羅からケーブルカーとロープウェイを乗り継いで芦ノ湖に向かうという欲張りセットは私の中の神奈川観光で最もオススメするルートである。
相模北州(相模原市南区、中央区、北区、愛甲郡愛川町、清川村)
平成の大合併により政令指定都市になった相模原市を中心とする地域である。
相模原市を南北に通る国道16号線沿いには軍事施設が多く、相模原市には米陸軍相模総合補給廠がある。相模原市の東側のJR横浜線や小田急線の沿線は宅地開発が進み人口が増加している地域であるが、相模原市の西側は丹沢山地の北側にあたりダム湖が多い地域である。
清川村と相模原市、愛川町にまたがる宮ケ瀬ダムは首都圏でも屈指の大きさを誇るダムであり、神奈川の水供給の相当の割合を占めている。このダムのお陰で芦ノ湖の水も多摩川の水もそれぞれ静岡県と東京都にそっくり全部あげることができると言っても過言ではない。
相模中央州(大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、厚木市、伊勢原市、秦野市)
この州の名前にはあまり納得していない。できるだけ各州は全体を表す名前にしたかったのでこれに落ち着いたまでである。
正直言って知名度のありそうな自治体名が一つもない。辛うじて海老名は近年東名高速道路の海老名サービスエリアがワイドショーなどで取り上げられることが多いので知名度は上がってきているかもしれないが。
神奈川県民の中(特に在住歴の浅い横浜・川崎の人)でも具体的なイメージが掴みづらい地域であることはほぼ間違いはない。有り体に言うと「影が薄い」地域といった感じだろうか。
大和市・海老名市・綾瀬市にはアメリカ海軍の「厚木飛行場」がある。ちなみに厚木市には存在しない。これには色々な説があるそうだ。
ここまで「(私が勝手に考えた)神奈川連邦」の州をざっと見てきたが、つまるところ前の記事の冒頭で書いた私の「神奈川には一体感がない」といったことが何となくわかっていただければ幸いである。
それでは今回はこの辺で。