SHIINBLOG

「にほんごであそぼ」は偉大なテレビ番組である

誰しも幼少期は訳も分からずテレビ番組をぼーっと観ることが多いものだ。

 私の場合夕方の時間帯はよくNHK教育(現Eテレ)の番組を観ることが多かった。もちろん当時は地上アナログ放送の時代だったから専ら「3チャンネル」と呼んでいて19:00のニュース7まではずっと点けたままのことも多かった。

忍たま乱太郎」とか「おじゃる丸」とか王道のアニメは勿論観ていたが、特に印象に残っている番組が「にほんごであそぼ」である。

にほんごであそぼ」は「日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら『日本語感覚』を身につけてもらうことをねらい(NHKのサイトより引用)」としている番組である。2003年から放送開始されて今でも続いているので今年でもう16年続いている番組ということになる。

https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009040386_00000

 正直、もう放送が終わってしまった番組だと思っていたので、私はググって初めて現在も続いているということを知った。幼少期は好きな番組で思い入れがあったので尚更である。

子ども向けの番組を制作するということは相当に難しいことだと思っている。なぜなら、あくまで番組を制作しているのは大人であって、子どもの視点に立つことができないと子どもに伝わる番組は製作できないだろう、と思うからである。

我々大人だって十分に理解しているかどうか怪しい日本の古典芸能・文学を小さい子ども向けに噛み砕いて紹介しようとする試みはとても挑戦的でかっこいい。

と、今振り返ってみて思うのである。

 

もちろん当時幼少期だった私が番組の内容をすべて理解しているはずはないのだが、10年以上経って大人になっても未だにこの番組のことを覚えているということは制作目的としては成功しているのだと思う。

野村萬斎が「ややこしや~」とか言ってるのを観たり中原中也の詩の一部を読み上げたり、神田山陽が漫談を披露したりするのは当時の私の眼にもかなりシュールに見えたはずであるが、私は「にほんごであそぼ」で目にしたものがその後の自分の趣味や嗜好にわずかながら影響したのではないかと感じるのである。

幼少期から日本の古典や芸能、文学に慣れ親しむというのはこういうことなのかな、と今振り返って感じるしそういう意味ではこの「にほんごであそぼ」という番組は偉大である。